MEPエンジニアの役割とは？業務内容を徹底解説

MEPとは、Mechanical（機械設備）・Electrical（電気設備）・Plumbing（配管設備）の頭文字をとった略称で、MEPエンジニアはこれらのシステム全般の設計・施工管理・調整業務を担う専門技術者です。

MEPエンジニアは、建築士、構造設計者、施工業者、プロジェクトマネージャーなどと連携しながら、建物内の設備が安全かつ効率的に機能するよう計画・実行していきます。

MEPエンジニアの業務は、大きく7つの領域に分けられます。

まず「機械設備（Mechanical）」の設計業務では、空調（HVAC）や換気システムの設計を中心に、スプリンクラーや排煙装置などの消火設備の構築、エネルギー効率に配慮した熱源システムの提案、そして設備仕様書や概算コストの作成を行います。

「電気設備（Electrical）」の設計では、受変電や電力供給の計画、照明および非常用照明の設計、通信・防災・監視といった各種システムの整備、非常用発電機などのバックアップ電源の検討、そして施工者が提出するO&Mマニュアル（運転・保守マニュアル）のレビューを担当します。

「配管・衛生設備（Plumbing）」の分野では、給排水や衛生設備、上下水・汚水・雨水処理の計画に加え、雨水貯留や再利用水システムの設計、施工仕様書およびコスト算出資料の作成も含まれます。

また、MEPエンジニアは「設計・施工管理および現場調整」も担い、設計図書・仕様書の整合性確認、MEPチームのマネジメント、施工者や設計者・検査員・協力会社への技術指導を実施します。さらに、建設スケジュールの進捗報告、技術的課題の解決、リスク分析会議への参加、現場の安全衛生チェックと是正対応を通じて、品質と安全性の確保に貢献します。必要に応じて、工事を一時停止する権限を行使することもあります。

「技術報告とコミュニケーション」も欠かせない業務です。プロジェクトディレクターへの技術的・リスクに関する報告、各種会議への出席、技術プレゼン資料や工事指示書（Site/Engineer’s Instruction）の作成を通じて、情報共有と意思決定をサポートします。

「品質・メンテナンス対応」では、材料・設備機器の事前確認（必要に応じて工場検査を含む）、不具合リストの作成と是正対応、竣工前の最終チェック（スナギング）および維持管理・運用に関する提案・スケジューリングを行います。

さらに「コストおよびバリュエーション管理」も重要であり、MEP関連工事費の変動要因に関する助言、追加工事や契約変更に対する技術的評価と対応を行います。

>>関連記事: MEPエンジニアの年収は？収入アップに必要なスキルとキャリア戦略を解説

MEPエンジニアは、プロジェクトの全フェーズにわたって重要な役割を果たします。

・設計フェーズでは、各設備の負荷計算や機器選定、レイアウト設計を通じて、建築・構造設計との整合を図りながら、国内外の建築・設備基準に準拠した計画を立てます。

・施工フェーズでは、施工会社や他分野との干渉を事前に調整し、現場での施工監理と検査を実施します。問題が発生した場合には迅速に対応し、是正指示を行うことで、スムーズな工事進行を支えます。

・竣工・引渡しフェーズにおいては、O&Mマニュアルや竣工図書の確認を行い、各設備の試運転や性能確認に立ち会います。また、建物の長期的な運用を見据えて、メンテナンス計画への助言も行います。

建物は外観の美しさだけでは完成しません。中にある設備が安全かつ効率的に機能し、長期間にわたって快適な空間を維持できるようにするには、MEPエンジニアによる高度な計画・設計・施工管理が不可欠です。彼らはまさに、建築物の性能と品質を支える「縁の下の力持ち」であり、プロジェクト成功を陰から支えるキーパーソンです。

MEPエンジニアは、建築プロジェクトの「機能と性能」を支える重要な存在です。設計、施工、維持管理まで一貫して関与することで、建物の価値と寿命を大きく左右します。建設プロジェクトを成功させるためには、経験豊富なMEPエンジニアの早期参画が不可欠です。

Noovaconsでは、豊富な実績を持つMEPエンジニアチームが、BIM対応の統合型MEPソリューションを提供しております。商業施設、病院、データセンター等において、コスト効率・法令遵守・エネルギー最適化を実現する設計をご提案いたします。お気軽にお問い合わせください。

※弊社の最新情報や事例紹介は、NoteのNoovaconsブログでもご覧いただけます。