Revit MEPとRebroの違いとは？5つの比較ポイントで徹底解説【価格・機能・互換性など】

近年、建設業界ではBIM（Building Information Modeling）の導入が急速に進み、設計から施工、維持管理に至るまでデジタルデータを活用した一元管理が求められています。特に、機械・電気・配管といった設備設計（MEP）分野では、設計精度や業務効率を高めるためにBIM対応ソフトの選定が重要なテーマとなっています。

もしあなたが設備設計やMEP分野で業務を行っており、「RebroとRevitのどちらを選ぶべきか」と迷っているのであれば、本記事がその答えを見つける手助けになるでしょう。両者はいずれもBIMワークフローに対応していますが、開発思想や機能、価格、互換性などに明確な違いがあります。

本記事では、Revit MEPとRebroそれぞれの特徴や違いをわかりやすく整理し、設計業務の内容や目的に応じてどちらのソフトが適しているのかを解説します。

Revit MEPとは、Autodesk社が開発したBIM（Building Information Modeling）対応の設備設計専用ソフトウェアです。MEPとはMechanical（機械）、Electrical（電気）、Plumbing（配管）の略で、建物内の空調・電気・給排水など、あらゆる設備システムを3Dモデル上で統合的に設計・管理することができます。

従来の2D CADでは、設備同士の干渉や他分野との調整を手作業で行う必要があり、ミスや手戻りが発生しやすいという課題がありました。Revit MEPでは、3Dモデルを基盤とするBIMワークフローを採用することで、設計段階から干渉チェックや性能解析が可能になり、建築・構造との連携もスムーズに行えます。

また、Revitは建築（Architecture）や構造（Structure）と共通のプラットフォーム上で動作するため、複数分野の設計者が同じデータベースを共有できます。これにより、設計変更への対応や情報共有が容易になり、プロジェクト全体の生産性向上につながります。

Rebro（レブロ）とは、株式会社NYKシステムズが開発・提供する国産のBIM対応設備設計ソフトウェアです。建築設備の設計に特化しており、機械（空調）、電気、衛生などの各分野を統合的に扱うことができます。国内の設計事務所やゼネコンを中心に広く普及しており、日本のBIM実務における標準ツールのひとつとされています。

Rebroの最大の特徴は、日本の建築基準や設備仕様に最適化された設計環境と、直感的な操作性にあります。AutoCADのようなコマンド操作を覚えなくても、視覚的なインターフェースで配管・ダクト・機器を配置できるため、初心者でも比較的短期間で習得できます。また、軽快な動作や図面の自動生成機能により、設計スピードと精度を両立できます。

さらに、RebroはBIMデータ（IFC形式など）の入出力に対応しており、他分野や他ソフトとの連携も可能です。建築・構造モデルとの整合性を保ちながら設備設計を進められるため、国内BIMプロジェクトや施工段階での情報共有にも適しています。

Revit MEPとRebroはいずれもBIM（Building Information Modeling）に対応した設備設計用ソフトですが、開発思想や設計アプローチには大きな違いがあります。ここでは、それぞれの代表的な特徴を整理しながら、どのような場面で強みを発揮するのかを見ていきます。

Revit MEPの特徴

BIM完全対応の統合プラットフォーム

Revit MEPは、建築・構造・設備の各分野を単一の3Dモデル上で統合できるBIMプラットフォームです。建物全体を俯瞰しながら設計を進められるため、分野間の整合性を高め、データの一元管理を実現します。

干渉チェックと高度な解析機能

配管やダクト、電気設備などの干渉を自動的に検出し、設計段階で課題を早期に発見できます。また、空調負荷やエネルギー効率をシミュレーションできるため、省エネ設計や快適性向上にも役立ちます。

コラボレーションとクラウド連携

同一のBIMデータベースを複数の設計者で共有でき、建築・構造チームとのリアルタイムな共同作業が可能です。Autodesk Docsなどのクラウドツールと連携すれば、遠隔地のチームとも効率的に情報共有できます。

大規模・国際プロジェクトへの対応力

Revit MEPは世界中で採用されており、海外案件やグローバル基準のBIMプロジェクトに最適です。多言語対応・IFC互換性を備えており、国際的な設計協働環境に強みを発揮します。

Rebroの特徴

日本の設計環境に最適化された国産BIMソフト

Rebroは株式会社NYKシステムズが開発した国産BIMソフトで、日本の建築基準や設備部材に完全対応しています。国内の設計事務所やゼネコンでの実務に即した仕様が整っており、導入後すぐに現場で活用できます。

直感的で学びやすい操作性

AutoCADのようなコマンド入力を必要とせず、マウス操作中心で誰でも直感的に配管・ダクト・機器を配置できます。BIM初心者でも短期間で習得できるため、教育コストを抑えられます。

軽快な動作と高精度な図面出力

Rebroは処理が軽く、快適に3Dモデルを操作できるのが特徴です。設計モデルから自動で施工図や数量表を生成でき、図面精度とスピードを両立できます。

他ソフトとの互換性と連携性

IFC形式などの標準BIMデータに対応しており、建築・構造モデルとの整合性を保ちながら設計を進められます。施工現場や他社とのデータ連携にも柔軟に対応できる点が評価されています。

比較項目	Revit MEP	Rebro
開発元	Autodesk（アメリカ）	NYKシステムズ（日本）
設計手法	BIM完全対応・3Dモデルベース	BIM＋2Dハイブリッド、設備専用設計
価格	年間サブスクリプション制（数十万円〜）	買い切り＋年間保守契約（約100〜150万円前後）
互換性	IFC・DWG・Navisworks・Autodesk Docs連携	IFC・DWG・建築CAD連携（国内環境に最適化）
主な利用シーン	大規模・海外案件、BIM統合プロジェクト	国内設備設計・施工図・中小規模案件

価格の違い

Revit MEPはサブスクリプション型のライセンス体系を採用しており、初期費用を抑えつつも年間契約が必要になります。バージョンアップやクラウド機能が常に最新の状態で利用できる一方、長期的にはランニングコストが発生します。Rebroは買い切り型のライセンスを基本とし、保守契約を追加する形式です。初期投資は高めですが、長期的に利用する場合にはコストを抑えられる点が特徴です。

機能の違い

Revit MEPはBIM統合環境を前提としており、干渉チェック、エネルギー解析、シミュレーションなど高度な機能を備えています。大規模かつ複雑なプロジェクトにおいて高精度な設計を実現できます。一方のRebroは、国産BIMとして日本の実務に即した機能を重視しており、図面自動生成や軽快な動作、設備部材ライブラリなど、日常業務の効率化に直結する機能が充実しています。

互換性・データ連携の違い

Revit MEPはIFCやDWG形式に対応しており、他のAutodesk製品（NavisworksやDocsなど）と連携することで、設計・施工・管理の各段階でデータを一貫して扱うことが可能です。  

RebroもIFC入出力に対応していますが、特に国内の建築CADや設備部材データとの親和性が高く、建築・構造分野との連携をスムーズに行えます。

操作性・学習コストの違い

Revit MEPは高機能である分、操作習得に一定の時間が必要です。特にBIM初心者にはややハードルが高い傾向があります。対してRebroは、視覚的な操作インターフェースとシンプルなコマンド構成により、初めてのユーザーでも短期間で使いこなせる点が評価されています。

導入規模・適用プロジェクトの違い

Revit MEPは、複数部門や海外拠点が関わる大規模プロジェクトに適しており、クラウドを活用したコラボレーションに強みを持ちます。 Rebroは、国内の中小規模プロジェクトや施工図作成など、スピードと実用性を重視する現場で活用されています。現場との情報共有や図面精度を求めるケースでは特に有効です。

Revit MEPとRebroはいずれも優れたBIM対応の設備設計ソフトですが、プロジェクトの規模や目的、運用体制によって最適な選択は異なります。ここでは、それぞれのソフトがどのようなケースに向いているのかを整理します。

Revit MEPを選ぶべきケース

Revit MEPは、建築・構造・設備を横断して設計データを統合したい場合に最も効果を発揮します。特に、大規模プロジェクトや海外案件など、複数の拠点や部門が関わるBIM環境ではその真価を発揮します。  

干渉チェックや解析機能を活用することで、設計段階から品質を高め、施工時の手戻りを最小限に抑えられるのも大きなメリットです。  

また、クラウド連携を活用すれば、離れた場所の設計チームとのリアルタイムなコラボレーションも可能です。グローバル基準のBIMワークフローを構築したい企業や、長期的なBIM活用を見据えている組織に最適な選択肢といえるでしょう。

Rebroを選ぶべきケース

一方、Rebroは国内の設備設計業務を中心に行う企業や、スピードと実用性を重視するプロジェクトに適しています。日本の建築基準や設備仕様に準拠しているため、建築・構造との整合を取りながらスムーズに設計を進めることができます。  

また、直感的な操作性と軽快な動作により、BIM初心者やCAD中心の設計チームでも短期間で運用を開始できる点も魅力です。

施工図作成や数量算出など、現場密着型の業務効率化を重視する場合には、Rebroが現実的かつ効果的な選択となります。

本記事では、Revit MEPとRebroの特徴や違いを比較し、それぞれの強みと適した活用シーンを整理しました。  

Revit MEPは、BIMを中心に建築・構造・設備を統合的に管理できるグローバルスタンダードな設計ツールであり、大規模・国際案件やBIM推進を重視する企業に最適です。  一方のRebroは、日本の設計環境や業務プロセスに即した国産BIMソフトとして、操作性の高さと実務への適応力が評価されています。中小規模プロジェクトや施工図作成など、スピードと精度を両立したいケースに適しています。

BIMの導入や運用には、単にソフトウェアを選ぶだけでなく、現場の業務フローに合わせた最適な設計体制づくりが欠かせません。Noovaconsでは、RevitやRebroを活用したBIM設計支援をはじめ、3Dモデリング、システム開発、データ連携など、設備設計のDX推進を総合的にサポートしています。