Revit MEPとAutoCAD MEPの違いとは？3つの比較ポイントで価格・機能・選び方を徹底比較

近年、建設業界ではBIM（Building Information Modeling）の導入が急速に進んでおり、その中でAutodesk社が提供する「Revit MEP」と「AutoCAD MEP」は、いずれも設備設計分野（Mechanical・Electrical・Plumbing）で広く使われている代表的なソフトウェアです。

しかし、両者は活用シーンが大きく異なるため、「自社プロジェクトにはどちらを導入すべきか？」と迷う企業担当者や設計者は少なくありません。

本記事では、Revit MEPとAutoCAD MEPの違いや特徴を分かりやすく整理し、どのようなケースでそれぞれのソフトが適しているのかを徹底解説します。導入を検討している方はぜひ参考にしてください。

Revit MEPとは、Autodesk社が開発したBIM（Building Information Modeling）対応の設備設計専用ソフトウェアです。MEPとはMechanical（機械）、Electrical（電気）、Plumbing（配管）の頭文字であり、建築プロジェクトにおける設備設計を統合的に管理することができます。

従来の2D CADでは困難だった設備間の干渉チェックや、建築・構造分野とのスムーズな情報連携を可能にするのが大きな特徴です。また、3Dモデルを基盤とした設計により、設計精度の向上や施工段階での手戻り削減に貢献します。

さらに、解析やシミュレーション機能を活用することで、省エネルギー設計や快適性の検証が可能となり、近年のBIM導入プロジェクトにおいて高く評価されています。

AutoCAD MEPは、Autodesk社の代表的なCADソフト「AutoCAD」をベースに開発された設備設計向けの拡張版ソフトウェアです。主にMechanical（機械）、Electrical（電気）、Plumbing（配管）の図面作成を支援する機能を備えており、従来の2D図面ベースの設計環境を活かしながら利用できる点が特徴です。

従来は独立した製品として提供されていましたが、2019年以降は「AutoCAD including specialized toolsets」に統合され、AutoCADを契約すればMEPツールセットを利用できるようになっています。

MEP設計に必要な部品ライブラリや、自動化された図面作成ツール、配線・配管の専用コマンドなどを備えており、標準的なAutoCADに比べて設備設計業務の効率を大幅に向上させることができます。

建設設備設計においては、どのソフトウェアを選ぶかによって業務効率や成果物の品質が大きく変わります。  同じAutodesk社が提供するAutoCAD MEPとRevit MEPですが、設計手法や活用シーンは大きく異なります。  ここでは、それぞれのソフトが持つ代表的な特徴を整理し、違いを明確にしていきます。

Revit MEPの特徴

BIM完全対応による3D設計

Revit MEPはBIM（Building Information Modeling）に完全対応しており、2D図面では表現しきれない情報を3Dモデルとして統合的に管理できます。これにより、設計者・施工者・発注者間での情報共有がスムーズになり、建設プロジェクト全体の透明性が向上します。

干渉検出と設計精度の向上

配管・配線・ダクトなどの設備要素が、建築や構造の要素と干渉しないかを自動的にチェックできます。従来のCAD設計で発生しやすかった施工段階での衝突や手戻りを大幅に削減でき、設計の信頼性を高めます。

解析・シミュレーション機能

空調効率やエネルギー消費、快適性などをシミュレーションできるため、省エネ設計やサステナブル建築に直結します。設計段階から性能を検証できる点は、近年のBIMプロジェクトにおいて大きな強みとなっています。

建築・構造分野との統合

Revitは建築（Architecture）、構造（Structure）と同一プラットフォーム上で連携可能です。そのため、設備設計者は他分野のモデルを参照しながら作業でき、設計の整合性を確保できます。部門間のコラボレーションが容易になるのも大きなメリットです。

AutoCAD MEPの特徴

AutoCADベースの直感的な操作性

AutoCAD MEPは、長年建設業界で利用されてきたAutoCADを基盤としているため、既存のAutoCADユーザーにとって非常に馴染みやすい操作環境を提供します。新たな学習コストを抑えつつ、効率的に設備設計を行うことができます。

2D図面作成に強み

従来型の2D図面をベースとした設計に適しており、配管・配線・ダクトなどをわかりやすく表現できます。既存のCADデータをそのまま活用できるため、レガシープロジェクトや図面中心の案件にも柔軟に対応可能です。

専用ライブラリと自動化ツール

MEP設計専用の部品ライブラリや自動化コマンドが搭載されており、配管・配線・機器配置などの反復作業を効率化できます。標準的なAutoCADに比べ、設備設計に特化した作業スピードの向上が期待できます。

導入のしやすさとコスト面の優位性

2019年以降「AutoCAD including specialized toolsets」に統合されたため、AutoCADを契約すれば追加コストなくMEP機能を利用できます。導入コストや学習コストが比較的低いため、中小規模のプロジェクトやCAD中心のワークフローに適しています。

比較ポイント	Revit MEP	AutoCAD MEP
設計手法	BIM完全対応、3Dモデルベース	CADベース、2D/3Dハイブリッド
協働・データ共有	建築・構造分野と統合、クラウド連携可能	DWG互換性が高く、既存CAD資産を活用可能
操作性・学習コスト	専門知識が必要、習得に時間がかかる	AutoCADユーザーに馴染みやすく学習コストが低い
適用プロジェクト規模	大規模・複雑なプロジェクト、BIM必須案件に最適	中小規模プロジェクト、CAD中心の案件に最適
コスト	BIM導入コストが比較的高い	AutoCAD契約内で利用可能、追加コスト不要

設備設計において、AutoCAD MEPとRevit MEPはいずれも強力なツールですが、その設計手法や活用シーンは大きく異なります。ここでは、代表的な比較ポイントごとに両者の違いを整理し、最後に一覧表としてまとめます。

設計手法（BIM vs CAD）

Revit MEPはBIM完全対応の3Dモデルベース設計であり、建築・構造分野と統合した一貫したワークフローを実現できます。  一方、AutoCAD MEPはCADベースで、2D図面を主体にしつつ必要に応じて3D化できる「ハイブリッド型」の設計手法が特徴です。

協働・データ共有

Revit MEPはクラウドやBIM 360を通じてリアルタイムにデータ共有が可能で、複数部門のコラボレーションに強みがあります。  AutoCAD MEPは既存のAutoCADデータやDWGファイルとの高い互換性を持ち、レガシーデータ資産を活用する場面で有利です。

操作性・学習コスト

Revit MEPは高度なBIM知識が求められ、操作習得に時間がかかる傾向があります。  一方、AutoCAD MEPはAutoCADユーザーであれば直感的に利用でき、学習コストが低い点が魅力です。

適用プロジェクトの規模

Revit MEPは大規模かつ複雑なプロジェクト、特にBIM必須案件に適しています。 AutoCAD MEPは中小規模の案件や、CADベースで十分な設計に強みを発揮します。

コストと導入ハードル

Revit MEPはBIM導入コストが発生するため、初期投資が比較的高額です。  AutoCAD MEPはAutoCADに統合されているため追加費用がなく、導入しやすいのが特徴です。

両者の特徴と違いを理解した上で、自社のプロジェクトや業務環境に最適なソフトを選ぶことが重要です。  ここでは、具体的なケースごとに「Revit MEPが適している場合」と「AutoCAD MEPが適している場合」を整理します。  

Revit MEPを選ぶべきケース

Revit MEPは、大規模かつ複雑なプロジェクトを手掛ける際に特に有効です。建築や構造部門と密接に連携しながら設計を進める必要がある場合や、干渉検出を活用して施工段階での手戻りを最小限に抑えたい場合には、BIM対応のRevit MEPが大きな力を発揮します。また、解析やシミュレーション機能を利用することで、省エネルギー性能や室内環境の快適性を設計段階から検証できるため、持続可能性を重視した建設プロジェクトにも適しています。長期的にBIMワークフローを導入し、設計から施工・維持管理までの一貫したデータ管理を目指す企業にとって、Revit MEPは最適な選択肢といえるでしょう。

AutoCAD MEPを選ぶべきケース

一方で、AutoCAD MEPは中小規模のプロジェクトや、既存のCAD資産を有効活用したいケースに適しています。2D図面を主体とした設計が中心であれば、AutoCADの直感的な操作性をそのまま引き継げるため、学習コストを抑えつつ効率的に導入できます。さらに、AutoCADを既に契約している場合には追加コストをかけずにMEP専用のライブラリや自動化ツールを利用できるため、導入ハードルが低いのも魅力です。BIM導入までは必要ないが、設備設計業務を効率化したいと考える企業にとって、AutoCAD MEPは現実的かつ実用的な選択肢となります。

BIM主導で大規模プロジェクトに挑むならRevit MEP、既存CAD資産を活かしつつ中小規模案件に対応するならAutoCAD MEP、といった使い分けが有効です。  

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